なれそめはディスコミュニケーション
お題「夫婦(カップル)の馴れ初めを教えて下さい。参考にしますので(笑)」
久しぶりにブログを書いてみる。
僕の妻と初めて会ったのは、2000年11月。
彼女が全国盲ろう者協会から借りていたパソコンがなかなかインターネット回線につながらないから、って、彼女のやってる手話サークルの生徒だった母から「あんた分かるんならちょっと行きなさい」と言われたのがきっかけだった。
「盲ろう者」とは、目と耳の両方に障害がある人である。例えば、ヘレン・ケラー。
全国盲ろう者協会は、登録商標で「日本のヘレン・ケラーを支援する」という文言を使っている。
弱視か、全盲か。難聴か、全ろうか。
組み合わせで4つの障害程度の部類に分かれるが、彼女は弱視全ろうで、音は全く聞こえない。目もよく見えない(進行性の網膜の病気)。当時はかろうじてマジックでチラシの裏に書いた文字が読める程度だった。(今はほとんど見えない。)
見たら、パソコンディスプレイは、WindowsXPの「ハイコントラスト 特大のフォント」にしていた。まぶしくないから黒い背景がいいらしい。
盲ろう者と会うのなんて初めてだったので、どうやって話せばいいのか、全然見当もつかない。
「手のひらに文字を書けば分かります」と言われたので、僕は覚えてないが、ボールペンで書こうとしたらしい。人差し指で書けよ、痛いだろう…。
何度か彼女の家に通っているうちに、何とかダイヤルアップ回線がつながるようになった。
ある日、帰宅した直後に彼女からFAXが届いた。
『かきさん、今日もありがとうございました。ところで、かきさんは忘れ物をしましたよ。何か分かりますか?』
…??? 何だっけ…。『何でしたっけ、分かりません』
『えーっ! 分からないんですか? これですよー!』と書かれた下には、マジックで書かれたジャケットの大きな絵が描いてあった。
『えっと、私の家は引っ越しの準備の最中なので、かきさんのジャケットも段ボールに入れて新しい家に送りますね。冗談、冗談です!』
…なんやこの子、しゃべれないから暗い子かと思ってたら、めちゃ面白いやんけ…。
その直後、クリスマスのデートを初めてカラオケBOXでやった。
告白したのは、年が明けて2001年の春。
親が折れて結婚にこぎ着けたのは、2005年6月であった。
どこに出会いがあるものか、人生分からないもんだ…。
もしエディオンが回線をつなげていたら…。母が彼女の生徒でなかったら…。
もう18年も前の事なんで、そんな出会いがなかったらどうなってたか、って、全然想像がつかないですね。